“がるまに史”に残る大大大ヒット作「仕事ができない榊くんは夜だけ有能」シリーズのスピンオフがついに配信されました!
タイトルは「茅原啓佑の×恋」。
シリーズ1作目から抜群の存在感を放っていた、あのロン毛のチャラ男・茅原が主人公です。
本編には数コマしか出ていないのに、カッコよすぎて「茅原の話を読みたい!」と熱望していた読者も多いはず。もちろん私もその1人です。
ということで今回は「茅原啓佑の×恋」をレビューします。
150文字でわかるあらすじ
仕事ができ、女には全く不自由しない“有能なチャラ男”茅原(31)。
だが人生でただ一人、抱けなかった女がいる──高校時代の恋人・里茉。
東京で楽しく奔放な性活を送る彼のもとに、7年ぶりに里茉から連絡が届く。
「私 結婚するんだ」
茅原は手に入らなかった“本当に欲しいもの”を取り戻せるのか。
再会から始まる、こじらせた恋の行方は──。
「榊くん」シリーズで異彩を放っていた茅原が満を持してヒーローに!
「茅原啓佑の×恋」の前に、本編である「仕事ができない榊くんは夜だけ有能」のすごさを少しだけ紹介します。

「仕事ができない榊くんは夜だけ有能」は、2022年から2024年にかけて3作品が配信された乙女向け同人シリーズ。
現時点で1作目の総DL数は脅威の42万越え、累計の販売数ランキングでも歴代2位に位置する、がるまにを代表するレジェンド作品です。
タイトルの通り、仕事はできないけどセックスがうますぎる新人の榊くんと、彼に翻弄されるヒロイン・“先輩”のラブコメディ。
その先輩の同期としてシリーズ1作目から登場したのが、「茅原啓佑の×恋」のヒーロー・茅原です。
初登場コマは小さいながら、「死ぬほどチャラい(セフレいっぱいいる)」という説明と顔面の強さで強烈に読者の印象に残り、また先輩を取られたくない榊くんの警戒心を刺激しまくるところもインパクト大で、「こ、この人の話を読みたい…!!!」という気持ちにさせてくれるキャラクターでした。
「榊くん」シリーズを読んでいない人も、「茅原啓佑の×恋」単体でも楽しめるのでそこは安心してください。
ただ読んでいると、「茅原、青春できてよかったね…『榊くん3』で青春したいって言ってたもんね…」と感慨深くなったり、「榊くんと飲んだときにいた女2人と3Pしてる笑」「ちょっとだけ先輩と榊くんが出てきた!」とうれしくなったりします。
茅原、本命以外の女とセックスしまくり
「榊くん」シリーズの作者・ぽつねんじんさんの稀有な魅力は、“お約束を破る”ところにあると思っています。
たとえば「TLのヒーローは仕事ができる有能な男」というのは、ほとんどの作品に当てはまるお約束です。顔が良くて仕事もできる。たとえ童貞設定であっても仕事はできる。それがTLヒーローでした。
あまりに当たり前すぎて、意識すらしていなかったこの前提を、私は「榊くん」シリーズを読んで初めて自覚しました。 「そういえば私は、“仕事ができない男”がヒーローのラブストーリーを、今まで読んだことがなかったかもしれない……!」と。完全に盲点でした。
しかもそれがちゃんと面白い。
お約束を破った上で、新しいヒーロー像を提示してくる。
「榊くん」シリーズは、そういう意味でもとても刺激的な作品でした。
そして「茅原啓佑の×恋」で、ぽつねんじんさんはまたしてもこちらの固定概念を揺さぶってきました。
ちなみに茅原は仕事ができる有能な男。なので、「榊くん」とは異なります。
では、どんなお約束を破ったのか。
それは、「プレイボーイのヒーローが、ヒロイン以外とどれくらいセックスしてきたのか」を、きちんと“見せる”という点です。
私はこれまで多くのプレイボーイヒーローを読んできましたが、思い返してみると、彼らがヒロイン以外の女性とがっつりセックスしている描写を、ほとんど読んだことがありませんでした(少なくとも記憶に残る限り……)。
元カノが何人いようと、「千人斬り」などの異名があろうと、「女にモテるんだな〜」くらいのぼんやりした感想で終わっていたのは、物語に没入する際のノイズにならないよう、あえて描かれてこなかったからなのだと思い至りました。匂わせる程度、描写しても数コマだけ。巧妙に“見えない化”されていた。
たとえば、TLの名手・江口尋さんの「×××レクチャー」はヒーローがAV男優という設定ですが、それでもヒロイン以外とのセックス描写はほとんどありません。
「TLでは、ヒロイン以外とのセックスをあまりがっつり描かない」
そのお約束に気づかされたのが、「茅原啓佑の×恋」でした。
なにせこの作品、茅原のヤリチンぶりを一切ごまかさず、真正面から描いてきます。
たとえば、女性の顔写真を大量に並べた「茅原が致した女性一覧」を見せるページ。これはインパクトがありました。名前もエピソードもなく記号化されているけれど、どこか個性が伝わる絶妙なキャラデザインが存在感を生み出し、とにかく「数の多さ」と「この女性たちとセックスしたという事実」が視覚的に突きつけられます。
さらに、何人かの女性とのセックスを、ページとコマを割いてきちんと描写。
飲み会の流れで関係に至るシーンからのわからせセックス、4人の女性との行為を1コマずつ見せる構成、そして「榊くん」に出てきた“りなち”とその女友達とのエグい3Pを6ページにわたって描くなど、具体と抽象を織り交ぜながら「これでもか!」とヤリチン像を積み上げていく。
おかげで、プレイボーイヒーローの解像度が爆上がりしました(笑)。

そうか……「千人斬り」って改めて考えるとすごいな……(解像度が上がったスージー)
そして読み終わったあとに残るのは、「里茉、覚悟決まりすぎじゃない……?」という気持ちです。
だって、何十人、下手したら何百人と関係を重ねてきたであろう男とセックスするって、めちゃくちゃ怖くないですか。自分より綺麗な人、セックスがうまい人、相性がいい人なんていくらでもいるだろうし……と、どうしても考えてしまう。
この感覚すらも含めて、プレイボーイヒーローという存在を「実感」をもって読ませてくるのが、この作品の凄さだと思います。
なので、好みが分かれる作品ではあります。
もちろん女性向けコンテンツですから「ヒーローにとってヒロインだけは特別」という描写が非常に重要になってくる。
では「数多の女がいるなかで、里茉だけが特別」ということを、どう伝えるのか。
あめか先生の素晴らしいポストを引用します。ここに答えが全て書いてあります。
まとめ
というわけで、プレイボーイヒーローという存在の解像度を一段引き上げてくれたのが「茅原啓佑の×恋」でした。
お約束は安心感がある一方で、どうしても既視感が生まれがち。その定番を更新してくる作品に出会うと、「そうきたか!」というワクワクがあります。もちろん好みはわかれると思いますが、茅原がどんな恋をするのか気になる人には、ぜひ手に取ってほしい一作です。
個人的には、茅原のセフレや里茉の婚活相手に特別な落ち度がないぶん、少しモヤる部分もありましたが……それも含めて2人の物語の余韻だと思います。
またエロ作品としても、ぽつねんじんさんの描く女体の肉感(里茉のお腹の柔らかそうさがとても好)や、茅原の雄み溢れるプレイなど、見どころは満載。読み応えがありました。










