今回レビューするのは、露々々木もげらさんの同人マンガ「K子と病みおじ・食/総集編」です。
FANZAでは男性向けとして販売され、DLsiteでは乙女向けである「がるまに」で取り扱われています。要は、甘々いちゃいちゃかつどエロのラブストーリーなので性別関係なくおすすめということです。
私はがるまにで購入しました。レビューが気になっている人の参考になればうれしいです。
「K子と病みおじ」とは? 「食/総集編」ってどういう意味?
「K子と病みおじ」は生きるのがしんどい男性(病みおじ)と、幽霊のK子さんのラブストーリー。2022年に「DLsiteがるまに」と「FANZA」で1作目の「K子と病みおじ・派」がリリースされ、その後シリーズ化した同人マンガです。
クレジットには「作・ヨールキ・パールキ」「画・露々々木もげら」とあります。
露々々木もげらさんについてはこちらでも書いています。
「K子と病みおじ」シリーズの発端は、私の知る限りだと露々々木もげらさんが2021年にpixivに投稿したショートマンガ。病みおじの年齢など細部は異なりますが、「病んでるおじさんが幽霊を懐柔していく」というアイデアは変わっていません。その後もpixivで数本ショート作品を公開し、シリーズ1作目の「K子と病みおじ・派」に繋がっていきます。
「K子と病みおじ」シリーズは全5作品。
- 「K子と病みおじ・派」(2022年2月1日配信)
シリーズ1作目。人生崖っぷちの病みおじが屋根裏の怪異・K子さんと出会い、懐柔しようと試みて共依存していくまでのお話です。本文54P
- 「K子と病みおじ・楽」(2022年3月17日配信)
シリーズ2作目。K子さんの影響でアパート周辺にまで霊障が拡大し、ついに和尚がお祓いにやってきます。そこで明らかになったK子さんの過去とは──。本文62P
- 「K子と病みおじ・番外編」(2022年6月1日配信)
シリーズ初の番外編。ストーリーは進みませんが、どちゃエロは全開。K子さんが開発されます。本文50P
- 「K子と病みおじ・密」(2022年9月15日配信)
ストーリー最終話。人間である病みおじと、幽霊であるK子さんの恋が行き着く先は──。61P
- 「K子と病みおじ・食/総集編」(2023年9月16日配信)
これまでの「派」「楽」「番外編」「密」のシリーズ4作と、描き下ろしマンガの「食」(77P)が収録された総集編(全306P)。「食」は現在単話配信の予定はないとのことなので、ここでしか読めません。
シリーズを買っていない人に勧めるなら間違いなくこの「K子と病みおじ・食/総集編」! 病みおじとK子さんの愛の軌跡が全部読めます。
\ これだよ /
「派」「楽」「番外編」「密」「食」全話レビュー!
1作目「K子と病みおじ・派」
病みおじは37歳。不況のあおりで仕事をクビになり、その後の就職もうまくいきません。精神を病んで転落人生まっしぐら、いままで住んでいた家も追い出されたので審査なし即入居可のやばそうな物件にお引越し。そこで幽霊を即発見します。
ここで病みおじの凄さがいかんなく発揮されます。幽霊と共存の道を探ろうとし、懐柔しようと試みるのです。ちなみに懐柔=挨拶からの即キス、そして押し倒し。新居に幽霊がいても普通そんなことはできない……。
まあ、おじが幽霊とのコミュニケーションとして参考にしているのは、彼のお気に入り作品である「事故物件×留学生」なのでむべなるかなです。
「事故物件×留学生」は私が初めてヨールキ・パールキを知った思い出深い作品でもあります! 2018年当時DMMでしか読めなかった(気がする)ので、DMMに新規登録しました。
「K子と病みおじ」全話に共通して言えることとして、基本的に「病みおじ目線」で物語が進みます。モノローグなども男性目線になるので、病みおじがどれだけK子さんを好きかってのがダイレクトに伝わってきてすっごく萌えます。
1作目「派」では人生に疲れた男性が少しずつ幽霊を懐柔していき、その幽霊にどハマりしていく過程がじっくり描かれています。人間の言葉が話せない幽霊の反応を見ながら病みおじ自身も興奮。(性的に)攻めつ攻められつつ攻守が次々と入れ替わる、幽霊と人間のノンバーバルコミュニケーション(=どちゃエロセックス)を展開。幽霊もおじもフィジカルがとんでもなく優秀で、露々々木もげらさんの超絶画力も相まって画面を見ているだけでも楽しいです。
2作目「K子と病みおじ・楽」
病みおじのアパートで霊障が起こりまくっているので、和尚さんがお祓いに。ちなみに「K子と病みおじ」は基本的にそのタイトル通り、2人の関係(というかH)をじっくり描いていく物語なのですが、この和尚は準レギュラーになっていきます(笑)。
1度は和尚を追い払えましたが、霊障が起こる理由がK子さんがらみなのは明らかで、和尚はきっと諦めずにお祓いに来ます。そこで病みおじは、「K子さんはなぜ成仏していないのか?何か思い残したことがあるのか?」を探ります。
そこで明らかになるのは、K子さんの過去。
【注意:ネタバレ含みます】
なんと、K子さんは人妻だったことが判明します。えっちな幽霊というだけですごかったのに、えっちな人妻幽霊という属性になった。すごい……。
私が病みおじにガチ恋しそうになったのはこの2話が原因。だって、K子さんの過去に何があろうとおじは気にせずK子さんを抱くし、一緒にいたくて束縛してメンヘラになっていくんですよ。最高!
3作目「K子と病みおじ・番外編」
おじに仕事が……!
家を空けての2週間の派遣期間&禁欲期間を終え、やる気まんまんで帰ってきたらK子さんに母乳が出るようになっていた。そしてK子さんに謎の「遠隔前立腺攻撃」という能力が追加され、天下無敵のどエロ幽霊に。大人のおもちゃを使ったプレイで開発しまくりの番外編です。
4作目「K子と病みおじ・密」
元旅館だった祖母の家を相続することになった病みおじ。そこで謎の触手幽霊に襲われます。そして祖母の家には、なぜか若かりし頃のK子さんの写真が……。
シリーズ最終話に露々々木もげらさんがぶっ込んできたのは「触手」。属性・癖をこれでもかと盛り、そして人間と幽霊のラブストーリーが完結しました。ハッピーエンド。おじの怒涛のプロポーズ、「こちとらもう生きていようが死んでいようが関係ないんですよ!もう彼女なしでは生きていけないので!」ってあまりにも愛。見届けてください。
5作目「K子と病みおじ・食」
前述の通り、「K子と病みおじ」はストーリーとしては4作目の「密」で完結しています。5作目の「食」は総集編用の描き下ろし。時系列は書かれていませんが、「遠隔前立腺攻撃」を習得していることを考えると「番外編」と「密」の間あたりでしょうか。
病みおじが病み期に突入したので、K子さんはおじを元気づけるため、謎の力を使って抽選でテレビを当選させます。そのテレビが今回のキーアイテム。テレビから褐色幽霊が出てくるんですね(きっとくるーきっとくるー)。
K子さんがその褐色幽霊に襲われ、おじはK子さんを取り戻すために奮闘します。「なんで俺のK子さん連れてった?」ってキレながら褐色幽霊を攻めてる病みおじ、めちゃくちゃ良かったですね。病みおじはほかの幽霊と性的接触がまあまああるんですがK子さんしか好きじゃないのがわかるので、ヒロイン以外との絡みが好きじゃない私も全然気にならない(むしろ「K子さんにしか勃たないおじ」という萌えポイントにすらなる)。
K子さんが可愛すぎたのも「食」のポイント。ホラーを怖がる幽霊かわいいね。水も怖いのにおじを正気に戻すためにがんばってえらいね。
現状、単話配信の予定はないとのことなので、読みたい人は総集編を買うしかない。めっちゃめちゃおすすめです。
カラーイラストの凄み
最後に、露々々木もげらさんはカラーもすごいってことを書かせてください。K子さんのカラーイラスト、血管の表現がすごくないですか?
「K子と病みおじ」のカラーは、基本的には「青みがかった黒の濃淡」と「肌の色」で構成されています。だから肌の色がすっごく際立っていて。
マンガだと女性は「白い肌、その頬にさすほんのりとした薔薇色」みたいな描写が美人の描かれ方の一つだと思うのですが、K子さんは血色を土気色で表現していて、そこに青みがかった血管を描くことでセクシーなんだけどどこか尋常の存在じゃない感じが出ています。
露々々木もげらさんの幽霊・怪異を描くときのこだわりを感じる……。