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「百英雄伝」をプレイした感想

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この投稿には、下記を書いています。

  • 私の「幻想水滸伝2」思い出語り
  • 「百英雄伝」をプレイした感想

私はこのブログを書くとき「最高に面白いからおすすめしたい!」という気持ちで書くのですが、今回は「忘れたくないから今感じたことを書き残しておきたいな〜」という徹頭徹尾自分用のメモみたいな投稿です。

「幻想水滸伝2」「百英雄伝」のネタバレはめちゃくちゃしています。

目次

「幻想水滸伝2」と私

中年になった今でもゲームが好きなのは、「幻想水滸伝2」の影響が大きい。

小学校6年生の頃にプレイし、あまりの面白さにずっとテレビの前に陣取っていた記憶がある。

小学生の頃の私は親の教育方針で毎日21時までに就寝しなければいけなかったので、学校からの帰宅後にプレイできる時間はわずかなもの。しかし「幻想水滸伝2」をやりたすぎたため、「夜寝ないといけない時間は決まっているけど、朝起きる時間は決まっていないよな」と毎朝5時に起き、プレイステーションのスイッチを押した。早起き苦手なのに!

そのくらい、「幻想水滸伝2」は私を夢中にさせた。

何がそんなに面白かったのか?と問われると、即答はできない。なぜなら、プレイしてからもう20年以上が経ち、ほとんど忘れてしまっているから。

でも、村人に豚の真似事をさせてから殺すルカ・ブライトの非道さと邪悪さに本気で憤り、自分の剣に死んだ恋人の名前をつけるフリックに涙し(ヒックスのテンガアールもそうだけど、戦士の村の「自分の武器に最愛の人の名前をつける」って設定最高)、吸血鬼ネクロード戦のBGMに心振るわせ、ナナミが死んだと思ったときは子供ながらに絶望し、ジョウイと敵になってしまう展開に胸をかきむしったことは記憶している。

だんだん大きく立派になっていく本拠地に心躍り、「紋章」の名称に厨二心をくすぐられ(「輝く盾の紋章」と「黒き刃の紋章」ってカッコよすぎるでしょ)、ずっとずっと「幻想水滸伝2」の世界に浸っていたかった。クリアした後の喪失感は凄まじかった。

余談だが、主人公の武器であるトンファーに憧れた人は私だけではないはず。

という感じで、場面場面は覚えてるけど内容はかなりうろ覚え。ガチユーザーは何度もプレイしまくってると思うので、私は本当にかなりライトなファン。

でも「あまりに感情を揺さぶられ、面白い体験をした」という記憶は根強く、「ゲーム=面白くて素晴らしいもの」という認識が私の根底にあるのは、最初にも述べたように「幻想水滸伝2」の影響が大きい(あと「ポケットモンスター」初代と「モンスターファーム2」と「ポポローグ」と「遊戯王 モンスターカプセルブリード&バトル」と「遥かなる時空の中で」の影響も大きい)。

「百英雄伝」感想

「百英雄伝」の開発発表で大盛り上がり

だから、2020年に「百英雄伝」の開発が発表されたときは本当に驚いたし、テンションがぶち上がった。

「『幻想水滸伝』元スタッフが集結」とファミ通に大々的に書かれ、いつの間にか「幻想水滸伝の精神的続編」と謳われ(初出は2020年7月の4Gamerの記事かな?)、「そもそも幻水を知らない人、幻水3の発売直前に村山吉隆さん(シリーズの生みの親)がKONAMIを退社したことを知らない人にこの宣伝文句が届くのかな?」なんていらない心配を(私が)するほど、「百英雄伝」は「幻想水滸伝」と結び付けられた。

実際、私も(たぶんほかのプレイヤーも)かなり「百英雄伝」に「幻水」を求めていたと思う。

例えば2022年5月にリリースされたアクションRPG「百英雄伝 Rising」は、「百英雄伝」の前日譚。2020年に開発が発表されたものの、本編の「百英雄伝」をお披露するまでに時間がかかるということで一足先にリリースされたスピンオフ作品だ。「Rising」のシナリオは村山吉隆さんではなく、「女神異聞録ペルソナ」「ペルソナ2 罪/罰」で知られる里見直さんが手掛けている。

「Rising」は「百英雄伝」の舞台と同じくオールラーン大陸にある辺境の町・ニューネヴァーで出会ったCJ、イーシャ、ガルーの冒険譚。面白かった! CJが見つけた“宝”、王道だけどだからこそまっすぐ心に届いた。

ただ、「Rising」で私が一番「お!これこれ」っと思ったのは町の発展システムだった。やっぱり幻水要素に惹かれてしまっている。

「百英雄伝」、面白かったけど……

そして2024年4月23日、待ちに待った「百英雄伝」が発売。クリアして思ったことは、「王道RPGで面白かった! 夢中でクリアした! でも全体的に粗いかも?」ということだった。

「粗い」というのは、操作性と細かいシナリオに関して。操作性は武器を鍛えるのに1レベルずつ上げなければいけなかったり(パーティ全員の武器を一気に5レベルくらい上げたいとき絶望した)、ルーンの付け替えが面倒だったり、利便性が良くないことが多々あった。

シナリオで特に気になったのは、「魔導レンズ」と「オルドリック公爵」と「マールリッジ」。

「百英雄伝」の世界では「魔導レンズ」が力の源。英雄それぞれが持っている魔導レンズにルーンをはめ込むことで、魔術を使えたりスキルアップできたりする。詳しくはwikiを参照。

私は魔導レンズが感覚的に理解できなくて。「レンズ」っていうと、メガネのレンズやカメラのレンズを思い浮かべてしまうけど、「それをみんなが持ってて、しかもルーンをはめ込む?」というのが視覚的に湧いてこない。メリサの手の甲やペリエールの髪飾りにある石(?)がそれっぽいというのはわかりつつ、「カメラやメガネのレンズ的なものではなく、ガラスの小さい球体みたいなものをみんなが持ってるってこと?」「それにルーンをはめ込むというのは……?」「キャラがレベルアップするにつれルーンをはめられる数が増えるし、キャラによって最大ルーンはめ込み数が違うのは、魔導レンズの性能の違い?」「でも魔導レンズは(体内に埋め込まれてるキャラはともかく)“所持”するものなら、例えば性能のいいノアの魔導レンズをバレンタインに渡すということもできる?」「そもそもルーンってなんだ? なぜ専用のルーンがあるの?」と、物語の根幹をなすシステムなのに、いまいち理解できていない。ただ、これは私の読解力の問題かもしれないし、やり込みが足りないのかもしれないし、これから明かされるのかもしれない。1周目はなんとなくの雰囲気でテキストを読んでしまっていた。

「オルドリック公爵」は主人公たちと敵対していく人物で、ガルディア帝国の権力者。魔導レンズという一部の人だけが使える力を、誰にでも使える技術にすることを目標に掲げている。私はそれ自体はかなり素晴らしいことだと思っていて、オルドリックがよく「人類の進歩のため」とか「歴史を進めるため」とか言っていることもわかる。でも「人類の進歩のためには多少の犠牲はやむを得ないおじさん」というか、そのために皇帝を暗殺したり、傀儡にしたり、帝国を私物化したり、レンズの力を持つ村人を実験台にしたりと、やり方・進め方がよくないので主人公たちの大反発を喰らった(と私は理解している)。

気になるのは、オルドリックが「人道的によくない」ことを「直接してる」描写があんまりないこと。魔導レンズ研究所での悪行も、主人公の村を焼いたのも、皇帝を暗殺したのも、もちろんオルドリックが背後にいるとはわかっていても直接やったのはほかのキャラだったりテキストだけの描写だったり。マクロの視点で見るとオルドリックの大義は理解できるし、ミクロの視点で見ても本人が直接悪事をやってる描写があんまりないから、オルドリックを非難するノア、セイ、メリサの主人公3人に対していまいち感情が乗り切れない。ノア、セイ、メリサはそれぞれ帰るべき場所をオルドリックによって失っている。ノアは故郷の村を焼かれ、帝国貴族にして帝国軍人のセイは自分の信じる正しさを貫いて帝国に(というかオルドリックに)背いて家を勘当され、メリサは家であり家族であった故郷の集落を敵に占拠された。でも、そこまで被害が甚大なようには描かれておらず(少なくとも私が感じる限りでは)、最終的には復興・復旧した。もっと取り返しがつかないくらい、オルドリック自身に故郷を壊滅させられたら私の気持ちがかなり違ったと思う。もっと絶望させてくれ〜という謎の希望。ただ、オルドリックは村を焼きたいわけではなく、魔導レンズを解明して技術として活用したい人なんだよな〜。どっちかというと器のでかい政治家・軍人として見える描写が多かったと思う。せっかく追い詰めたペリエールを無傷で逃したり(なんで?とは思ったけど。仮にも敵国の領主なのに)、アインリッヒとの最後の会話だったり(余談だけど、アインリッヒ好き。妄信的で、暑苦しくて梶裕貴の演技も良かった! たぶん生まれつきレンズの力があって、それが暴発して大事な人を殺してしまって、だからオルドリックが「魔導レンズを誰でも使える技術にする=制御できる力にする」って言ってるのに賛同してる、という背景も納得感があった)、人間的魅力があるタイプのキャラクターだった。

「マールリッジ」は、もうちょっとマールリッジの天才軍師っぽい背景とか理由とか登場の仕方とかがほしかった(それがわかる伏線を見逃していたら申し訳ない)。なんかポッと出てきて重要ポジになってたけど、「あなたそんなすごい人なの?」という気持ちをずっと抱きながらプレイしていた(笑)。

気になるところばかり挙げてしまったけど、個人的に「すごい!」と思ったのはユークリスの若き王ユンマのエピソード。ユークリスが帝国に追い詰められたとき、ユンマはどうするか悩みに悩んだ末、「カシウス将軍とマールリッジに王権を2週間預ける」と言う。2人がなんでも決めていいし、なんならユンマ自身を処刑するという判断になっても従う。それが2人の決断ならきっとユークリスのためだからと。「え、王権を預ける!?」とびっくりした。つまり王としての統治権を期間限定とはいえほかの人に預けるってことで、王様としてダメダメだと思う。即断即決の必要があるとはいえ、それは責任からの逃げ。例えば会社の存続を揺るがすような大問題が起こったとして、社長が「2週間だけ信頼できる部下に社長になってもらいます」とは言わない。カシウスとマールリッジの意見を聞いてユンマ自身で決断するとか、戦争に関しては全権を委任するとか、いろいろやり方はあると思う。「決断」をしないといけないトップとして「王権を預ける」という決断、つまり「自分で決断をしないという決断」は逃げだと思うけど、すごい逃げだ。覚悟のある逃げ。この判断するキャラは初めて見たし、そこまで信用されたらカシウスとマールリッジはがんばるしかないかもしれない。たぶんこのユンマとの対比になっているのが、ノールスターの君主サラス・バーラント。ユンマは常に優しすぎて、頼りなくて、優柔不断な性格だと評されていて、サラスは国民からの信望が厚く名君的な扱い。でもノールスターの危機に文字通り我先に国外に逃げた。ユンマは王権を預けはしたけど、ユークリスにいた。同じ「逃げ」でも、体がその国に留まっているのといないのとではかなり違う。サラスの部下・エレクトラは「サラス様は平和であれば名君だった」みたいなことを言っていたけど、平和なときに力を発揮するタイプと危機的状況で力を発揮するタイプはいると思う。ユンマは優柔不断だけど、平和なときも国を運営し、国の危機も乗り切ったので本当の名君なのかもしれない。

「幻想水滸伝の精神的続編」なのかな?

そして「幻想水滸伝の精神的続編」という表現に関して。たぶんスタッフたちの言葉ではなく、メディアが言ってるんだと思うんだけど(違ったらすみません)、あまりしっくりこない表現。「続編」っていうと、「幻想水滸伝」の続き……つまりハイランドとかデュナンとか、そういった国・地方がある世界での物語の続きという意味に取れるけど、「百英雄伝」は世界が全く違うからそうではない。「精神的」というのはちょっと意味がわからないけど、雰囲気から察するに「村山さんたちが『幻想水滸伝』というシリーズでやりたかったこと」あたりの解釈だろうか。

「百英雄伝」をプレイしてみて、初期「幻想水滸伝」をかなり随所に感じたけど、「精神的続編」とは思わなかった。本拠地の発展システム、仲間集め、数々の種族、熱い群像劇など、初期「幻想水滸伝」ファンが求めていることを「今の村山さんたち」が作ったらこうなる、という「やり直しもの」のような印象。だからこそ、村山さんが作った「百英雄伝2」と「百英雄伝3」をプレイしたかった。村山さんが亡くなってしまったのが、本当に本当に残念……。

でもファミ通のスタッフ座談会によると、すでに発表されているDLCは村山さんがシナリオを担当しているとのこと。メリサ、セイ、マーカス(!?)が深掘りされるらしいので、8月以降を楽しみに待とうと思う。

最後に。前述したように、「Rising」で私が一番「お!これこれ」っと思ったのは町の発展システムだった。「百英雄伝」本編でも、一番テンションが上がったのは「ナナミのアイス」レシピが出てきたとき。やっぱり幻水要素に反応してしまう。これがいいことなのかわからないし、「百英雄伝」というIPを純粋に楽しむにはノイズになったかもしれない。気になることとして挙げたものは、「幻水2と比較して気になるもの」でもある。「(ラスボスじゃないけど)ルカだったら村を徹底的に焼いたよな」とか、「シュウの登場はもっと納得感があった気がする」とか、「27の真の紋章はわかりやすかった」とかね。

ただ私がこれまで「幻想水滸伝」をやり直さなかったのは、「初プレイで感動した作品をやり直して『そうでもなかったな』って思うのが嫌だから」という意味合いが大きい。でも、今猛烈に「幻想水滸伝」をやりたい。どんな話だったか思い出したい。結果的に「やっぱり最高だ!」となるかもしれないし、「思い出補正が入っていたなー」となるかもしれないし、「大人目線だと違う感動がある!」となるかもしれない。それでもいいのでやりたい。なので「幻想水滸伝 I&II HDリマスター~門の紋章戦争・デュナン統一戦争~」をマジで待ってます!

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