自腹で買った本当に面白い作品のレビュー、今回はすみさんの「黒弁護士の痴情 世界でいちばん重い純愛」です。各電子マンガサイトで単話版が配信されているほか、紙・電子で単行本化もされています！ このレビューが、購入の参考になれば幸いです。
あらすじ
「君のぜんぶ、俺のものにしたい。」 激務だった前職を辞め、神一家が営む法律事務所へ転職した結。神家のイケメン兄弟・宗一と弟の佑志郎とは、昔からの幼なじみ。とくに宗一には幼い頃から恋心を抱いていたけれど、ある日を境にずっと会えていなかった。入所歓迎会の日、宗一との再会を楽しみにしていた結。でも、18年ぶりに会った宗一は昔と雰囲気がずいぶん変わっていて…？ 恋の甘さ、痛みさえも愛おしい。ぞくぞくするほど重い、純愛ラブストーリー！
https://www.bunkasha.co.jp/book/b555414.html
美しくて気品ある男の、えぐい性欲
コミックシーモアが主催している「電子コミック大賞2023」が1月24日に発表されましたね。TL部門もあるので毎年注目しているのですが、今回レビューするのは去年発表された「電子コミック大賞2022」でTL部門賞を受賞した「黒弁護士の痴情 世界でいちばん重い純愛」です。
「黒弁護士の痴情 世界でいちばん重い純愛」の萌えポイントは、もうなんと言ってもヒーローの宗一。
弁護士で、優秀で、クールで、大人の男で、美しく、気品があって……めちゃくちゃ性欲が強いんです（笑）。
天使のような顔をしたかわいい少年・宗一はヒロインで幼なじみの結を好きすぎるが故に、無理やり手に入れて傷つけてしまうだろうことを恐れ、中学入学を機に結から離れます。
その後18年間、アメリカの弁護士資格を取るための留学などを経ながらもメールだけで結とやりとりしてきました。
そして結にふさわしい男になれたと帰ってきたところから物語は始まります。
宗一からはスパダリ臭がただよい、実際にスパダリなんですがマジで変態。
ライトに結の部屋に不法侵入したり、未遂ながら寝ているところを襲ったり、痴態を見たがったりと、「その上品なお顔でそんなことを……？」と戸惑いながらも面白くてページをめくる手は止まりません。
この書き方だと「好き勝手やってる男」に読めるかもしれませんが、宗一はかなり我慢強い男です。
そりゃそうですよね、18年も好きな子に会うのを我慢できる人ですから。
最後まで致すのは気持ちを確かめ合ってからですし、結が寝てるときにムラムラしても早朝ランニングで発散します。
男の人の我慢って色っぽいんだな、とこの作品に教わりました。
黒弁護士の痴情 世界でいちばん重い純愛【電子限定かきおろし漫画付】 （1）
連載だからこそ、より重く深くなっていく宗一の“痴情”
変態なところを存分に見せつつ、結への思いの重さも果てがなく、TLヒーローとしてめちゃくちゃポイントが高いんです。
結を本当に好きだからこそ、結を怖いと思う感情。嫌いな人になんと思われようとどうでもいいですが、好きな人にどう思われるかはすごく怖いですからね。自分を簡単に傷つけられてしまう。
そんな宗一に一途な激情を向けられる結は、これまたすごく素敵な女性です。
宗一はとある事情から不安になりがちなんですが、結はそんな彼に言葉と行動で好きだと伝えられる人。素直で、しっかり自分を持っていて、かなり好感が持てます（余談ですが結は超ダイナマイトボディ。かなり眼福です）。
「黒弁護士の痴情 世界でいちばん重い純愛」は商業連載中のTLマンガです。
TLは読み切りや数話で完結するマンガも多く、それはそれでとても面白いのですが、連載には連載の良さがあります。
そのうちの1つが、カップルの成長と変化を見られることです。
宗一が重い感情を抱き、ぶつけ、それを結が受け止め、きちんと心と体でコミュニケーションを取って思いを通じ合わせる。
その過程をじっくりと追えるのが連載の良さで、「黒弁護士の痴情 世界でいちばん重い純愛」ではより重く深くなっていく宗一の“痴情”がしっかりと描かれています。
すみさんの卓越した画力（特に体と表情の描き方が超好きです）、そして宗一と結の恋を盛り上げる画面構成と演出、どれをとっても素晴らしい作品なので、ぜひ読んでみてほしいです。
1話ずつの単話版、紙・電子の単行本と刊行形態があり、2023年1月時点で単行本は3巻まで出ています。単行本には各巻に6話分ずつ収録されています。
私のオススメは単行本です。描き下ろしのマンガがすっごくいいんですよ……。
シリアスな本編には入らない、ちょっと面白い宗一が見られます。
