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転職したから「え? いつまで学生時代と同じ勉強法やってんの?」と煽ってくる本を買ったら思ったより良本だった

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知ってるはずの固有名詞が出てこなくて「アレ」としか言えず、「記憶力がマジでヤバい」とうっすら怖くなるとき、ありませんか?

30代中盤になってからこの現象が加速した気がするので、加齢のせいかな?と思っていました。

が、最近異業種に転職しまして、新しい知識をガンガンに覚えないといけないので「加齢」とか「脳の衰え」とか言ってられない。流行りの「リスキリング」を強制的にしなくてはならない。

そんな私が手に取った本が、「一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方」です。

表紙がかなり特徴的なので、印象に残っている人も多いかもしれません。

擬人化された脳が、

「え? いつまで学生時代と同じ勉強法やってんの?」

「脳の仕組み 変わったんですけど」

と煽りに煽りまくっている表紙です。

本のタイトルは正直アホっぽいし、脳の煽りがムカつく。

でも、本書で繰り返し言っているのは

  • 30代〜50代の脳のほうが、学生時代の脳よりポテンシャルが高い
  • 学生時代と同じく本にマーカーを引いたり付箋を貼ったりしても、大人は覚えられない。大人には大人の勉強法がある

ということ。

新しい知識を入れなきゃいけない大人にとって、かなり希望じゃないですか?

この投稿では、

  • なぜ30代〜50代の脳のほうが、学生時代の脳よりポテンシャルが高いと言えるのか?
  • 記憶力をアップさせる方法

に関して本書から学んだことをまとめます。

目次

中年の脳のほうがポテンシャルが高い?

「学生時代は物覚えがいいほうだったのに、今は3歩歩くと忘れる」という中年、多いのではないでしょうか(私です)。

本書によると、学生時代に記憶力が高かった理由は「無意味記憶」ができたからだそうです。

無意味記憶とは、言葉の意味がわからなくても、その語句の音や形などで記憶すること。

確かに、子供時代は長ったらしい恐竜の名前や仏教系の幼稚園で唱えたお経など、まったく意味はわかっていませんでしたが(今もわかりませんが)けっこうすぐに覚えられた気がします。

つまり「耳で聞いた情報」や「目で見た情報」を素直に記憶する力が強かった……丸暗記ができたんですね。

でも大人の脳はそれができない。

記憶力が落ちたのではなく、記憶するための脳のシステムが変化したからです。

具体的に言うと、18歳頃から丸暗記が得意な「学生脳」は衰え始め、30歳頃には理解力や思考力などより高度な機能を備えた「大人脳」へと切り替わるそう。

大人脳では学生時代には理解できなかった難しいことも理解して、面白がることができるようになる。

だから、「大人こそ勉強するのに最適な時期」というのが本書の主張です。

でも実感として物事を覚えづらくなってるし、記憶力も下がってる……と思うのですが、「記憶力は加齢によって下がりません」とのこと。

脳研究者の池谷裕二さんも

オランダの115歳で亡くなった女性の脳を解剖したところ、脳の機能がほとんど老化していないことがわかったのです。この実験結果から、脳の寿命は120年くらいだろうと考えられるようになりました。

https://www.joshi-karada.jp/wellaging/8694.html

と言っています。

そうなんだ……。

記憶力をアップさせる方法

じゃあどうしたら覚えられるの?

加齢で記憶力が低下しないのはわかった。

じゃあどうやったら覚えられるの?という疑問に答えるのが本書です。

記憶は「短期記憶」と「長期記憶」に大別されます。

私たちが目や耳から集めた情報は、まず脳の海馬へと送られ、そこで海馬が消去するもの(短期記憶)残すもの(長期記憶)に選別します。

海馬に「この情報は長期記憶したほうがいい!」と思ってもらうのが、記憶力アップのコツ。

「一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方」には、丸暗記ができなくなった大人のための、脳の特性を活かした記憶力アップ法・勉強法がたくさん掲載されています。

私が「すぐにできそう」と思ったのが以下の4つ。

  • 覚えたい知識と、少しずつ顔馴染みになっていく
  • 情報を繰り返し海馬へ送る
  • 勉強の前に、ワクワクする状況を作る
  • アウトプットを意識しながら勉強する

簡単にまとめます。

覚えたい知識と、少しずつ顔馴染みになっていく

脳は「関心がある情報」を「必要」だと認識するそうです。

だから脳(=私)にとって

  • 興味があること
  • 好きなもの
  • 見聞きしたことがあるもの

の情報は長期記憶に入れられる可能性が高い。

この脳の特性を利用して、「覚えたい知識」を少しずつでもいいから知ってき、「見聞きしたことがあるもの」にしていく。「あ、知ってるかも!」「聞いたことあるかも!」くらいの小さな接点を作っていく。

例えば新紙幣の肖像に選ばれた渋沢栄一について知りたいとき。

いきなり細かい字でびっしり書かれた難しい評伝を読むのではなく、子供向けに解説されたマンガや、YouTubeの動画などから始める。

それをとっかかりに情報との親密度を上げると、目や耳から情報が加速度的に集まってきて、脳が「見聞きしたことがあるもの」と判断し、内容を覚えていくそうです。

情報を繰り返し海馬へ送る

「復習が大切」というのは大人になっても変わらないようです。

海馬に「これは重要な情報である」と思わせる方法として、

短期記憶に保管されている2〜4週間の間に、その情報を繰り返し海馬へ送ること

があります。

エビングハウスの忘却曲線は有名ですが、「覚えたことはその日のうちに復習する」がやはり記憶を定着させるためには重要です。

その際、学んだことは最初と最後が記憶に残りやすいため、復習は真ん中あたりに学んだことから始めたり、真ん中あたりの復習回数を増やすといいそうです。

勉強の前に、ワクワクする状況を作る

ワクワクしたポジティブな感情を浴びると、脳からシータ波という脳波が出ます。

シータ波が出ているときの脳は活性化しており、長期記憶しやすい状態に。

ワクワク勉強なんかできないよ!という人も多いと思いますが、「勉強にワクワクしている」ではなく「ワクワクした前向きな気持ちで勉強に向かう」でいいそう。

私は最近お気に入りのほうじ茶ラテがありまして、それを買って職場に向かうようにしています。

(効果はわからない……)

アウトプットを意識しながら勉強する

脳は情報をインプットするときだけでなく、アウトプットのために取り込んだ情報を思い起こそうとしたときのほうがより強く記憶される「出力強化性」が備わっているため、記憶力の向上にもアウトプットは欠かせません。

とのこと。

アウトプットを意識しながらインプットをし、そこで考えたことを書き出して、誰かに説明するように話すのがいちばん効果的だそうです。

まさにこのブログ!

学生脳と大人脳ってほんとか……?

ここからは雑談なんですが、上記を読んで思いませんでした?

「え、学生時代も同じような方法で勉強してたよ!」って。

本書では「大人脳」「学生脳」と区別していますが、学生時代の勉強法とそこまで大きく違うかな……?と思いました。無意味記憶は子供のほうが得意なので、「それが通用しなくなった」はすごく腹落ちします。また、ただ読んで付箋を貼ったりマーカーを引いてるだけじゃ覚えられないというのもよくわかる。なので「脳の特性を生かした基礎的な記憶術・勉強法を、大人が希望を持つように教えてくれている本」という印象です。

私は安易に「年齢で記憶力が落ちてる」と思っていたんですが、改めて考えてみると大人のほうが長く生きている分情報量が格段に多い&時間感覚が短いから、記憶力が落ちたって感じやすいのではないかなーと。

社会人の私は1カ月で30人くらいの人と名刺交換することがザラにありますが、子供は1カ月で新しく30人と挨拶することってあんまりないですよね(転校とか、新しいクラブに入るとか? それは子供にとって環境が変わるビッグイベントのはず)。

だから社会人は「半年前に名刺交換した人と今日の打ち合わせで会うが、顔をまったく覚えてない……」みたいなことが頻繁にあり、「記憶力が落ちたなあ」という実感に繋がるのではないかと。半年前なんて、大人にとってはつい最近です。「最近会った人の顔も覚えてない……」と思ってしまう。

勉強も、学生時代はテストや宿題、塾という外部要因で頻繁に復習する機会がありましたが、大人は自分から作り出さない限りその機会がない。

だから、

  • 記憶力の低下も物覚えの悪さも、加齢による老化が原因ではない
  • 大人は覚えたい知識を定着させる環境・習慣を自ら作り出す必要がある
  • 脳の特性を知ることで、その環境・習慣を効率的に作り出せる

ということかなと思います。

脳の特性を知ると、記憶が定着しやすくなって効率的に勉強できるよ!

この本で脳の特性と、記憶術・勉強術を知ろう!

というのが、「一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方」の主旨かなと。

このブログでは書きませんでしたが、本書のいちばんの特徴は、脳の特性を「脳番地」という概念を使って説明していることです。

脳を会社に例えたり、脳番地を擬人化したりとあの手この手で理解を促してくれるので、読み終わる頃にはだいたい脳番地の特性を覚えられます。

個人的には、

  • 印象に残る表紙(正式な書名を知ってる人少なそう)
  • 読みやすいよう、飽きさせないよう適度に差し込まれるマンガ
  • 脳番地を擬人化したことでの理解促進
  • 「人生100年」と無茶振りされ、リスキリングが叫ばれてる時代に合った企画
  • 「30代〜50代の『記憶が衰えた……』と思ってる人」という明確なターゲット

など、編集者の力をめちゃくちゃ感じる本でした。

著者の加藤俊徳さんのほかの本もパラパラ見たんですが、本書が圧倒的に「読者の理解」と「売れること」を考えられていると思う。

内容がわかりやすく、実行に移しやすく、何よりリスキリングが必要な中高年への応援の気持ちが溢れている良本でした。

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