自腹で買った本当に面白い作品のレビュー、今回は墨さんの「種が芽吹いて恋になる」です。2023年3月現在、「DLsiteがるまに」で購入できます。R18作品ですが、ほんっとうに萌えるので18歳以上の人はぜひチェックしてみてください。このレビューが、購入の参考になれば幸いです。
あらすじ
転生した先はとある小説のモブ花屋だった。
好きな花に囲まれ前世よりも幸せな日々を過ごしていたアリシアだったが、親も恋人もいないモブの日々の中、前世からの願いである愛されることへの憧れを捨てきれていなかった。
ある日、植物学者を名乗る怪しげな男が店を訪ねてくる。
見たこともない植物を託したいと言う男に戸惑いつつも、人生を変えるチャンスと思い依頼を受ける決心をする。
部屋に持ち込んだ植物は寝静まるアリシアへ這い寄り、夜な夜な快楽に従順な身体へと作り変えていく。
再び姿を現した男のその目的は…。
「さぁ、番になる日が来たよ、アリシア」
淫紋が浮かび上がったアリシアの身体に子種を注ぎ苗床にするべく、執拗な前戯から始まって子作りをする話。
https://www.dlsite.com/girls/work/=/product_id/RJ431858.html
「全ページ眼鏡ver」を追加するサービス精神に感謝
眼鏡スキーの皆さん、おめでとうございます。「種が芽吹いて恋になる」がやってくれました。
「種が芽吹いて恋になる」は「通常ver」と「全ページ眼鏡ver」の2パターンのデータが用意されています。
「通常ver」では物語序盤のみ、学者がかけるようなラウンド型眼鏡をしているヒーローのブラット。「全ページ眼鏡ver」ではその名の通り、全ページ（もちろんHシーンでも！）で眼鏡を装着しています。
「種が芽吹いて恋になる」が「DLsiteがるまに」で販売開始したのが、2022年11月27日。「全ページ眼鏡ver」は発売後の12月4日に追加されてるんです。
なんというご褒美、なんというサービス精神……！
美しく繊細な絵柄と丁寧な心理描写、そしてハードなエロ
「種が芽吹いて恋になる」は、絵がすごく繊細で美しいんです。ヒロインのアリシアはかわいらしく、ヒーローのブラットはどこまでもカッコいい。2人を眺めているだけでうっとりします。
そして、2人の心情を丁寧に描いているのもポイント。
アリシアは前世ではひとりぼっちの寂しい人生でした。植物を育てることが唯一の楽しみ。というのも、植物は大切に育てたらきれいに咲いてくれる……気持ちを返してくれるからです。コミュニケーションに、愛に飢えている女性です。
転生後もファンタジー小説のモブなので親や恋人もおらず、主人公や悪役令嬢のようにイベントは起こりません。それでも花屋に転生したので、大好きな植物に囲まれて前世より楽しく生きてきました。
対してブラットは、ネタバレになってしまうので詳しくは書かないのですが人外の存在です。生まれも特殊で、彼自身も愛されたいという願いを抱えています。
作中、ブラットの過去が3コマだけ描かれているページがあります。
セリフや言葉もないその3コマだけでブラットの抱える寂しさや愛されたい願望が察せられて、墨さんのマンガ力の高さに驚きます。
というように、心の揺れ動きも丁寧に描かれているのですが、もちろんジャンルは「乙女向け同人」。どエロです（笑）。
「種が芽吹いて恋になる」のタグ、「中出し」「触手」「クンニ」「潮吹き」「淫語」ですからね。作品ページにもめちゃくちゃ大きく「異世界×触手×孕ませ番セックス」って書いてある。
美しく繊細な絵柄と丁寧な心理描写、そしてハードなエロ。最高のギャップで私を楽しませてくれました。
「苗床」というパワーワード
この作品、ブラットの目がすごくいいんです。
ハイライトがほとんどなく、瞳孔は狭くて縦型。
腹に一物抱えているような、一歩引いて観察しているような、何か怒りを抱えているような、そしてちょっと寂しげな目です。
眼鏡といい、目といい、目元にすごく魅力がある作品だな～！と思います。
そしてやはり語らざるを得ないのが「苗床」というキーワード。
試し読みできるサンプルにも出ていますし、「なんぞ!?」と思った方も多いんじゃないかと思います。
「苗床」って、男性向けエロファンタジーのバッドエンドでしか見たことなかったワード（笑）。
もちろん、「種が芽吹いて恋になる」はハッピーエンドのTLです。なので安心してください。苗床からの“養分”みたいなことにはなりません。
「苗床」のページも最高～！と思いましたが、個人的に一番グッときたのは最後のほうのセリフ。この作品はアリシアが健気でかわいいのですが、終盤ではブラットも健気なことが発覚します。
ブラットの「頑張った」にツッコミどころが多いけど（苗床……）、ブラットなりにがんばったんだね……とキュンとなる。
素晴らしい作品なので、気になる方はぜひ。pixivで長めの試し読みもできます。
