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「オークの樹の下」を全話購入して読み、萌え狂ったポイント3選

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オタクはいつでも何かに萌え狂っていたいもの(断言)。

「萌えすぎてジタバタしてしまうような恋愛マンガを読みたい」という人がいたら、

いますぐ「オークの樹の下」を読め!! 読んでくれ!!!!

と声を大にして伝えます。

「オークの樹の下」(めちゃコミ)

上記のテキストだけでほぼこのレビュー記事で書きたいことは終了なのですが、これだけだとさすがに薦め方が乱暴すぎるので、「私がどこに萌え狂ったか」と「広告展開のえげつなさ」を軸に「オークの樹の下」を掘り下げていきます。

目次

「オークの樹の下」はめちゃコミ史上最速で売上3億円を突破した人気作

「オークの樹の下」は、電子コミック配信サービス「めちゃコミック(めちゃコミ)」で独占配信しているロマンスファンタジーです。

「ロマンスファンタジー」とは、主に大人の女性読者に向けた恋愛ファンタジージャンルを指します。韓国Webtoonで流行しているジャンルです。LINEマンガやピッコマといった韓国にルーツを持つWebtoon大手が、ロマンスファンタジー作品を日本で数多く配信しているので、知ってる人も多いと思います。「ロマファン」って略されたりしてますね。大人の女性向けということで、課金率がいいんだろうなあと思っています。

「オークの樹の下」は韓国のWeb小説を原作としたWebtoon。韓国でもWeb小説の投稿が盛んで、人気のWeb小説がWebtoon化というのは定番の流れのようです。「オークの樹の下」はすでに世界展開もされており、約170カ国で累計1億回以上読まれている人気作です(英題は「Under the Oak Tree」)。

日本では2023年12月22日にめちゃコミで配信開始。1カ月で1000万ダウンロードを達成し、めちゃコミ史上最速で売上3億円を突破しました。たぶんめちゃコミの中の人がイケイケドンドンでネットワーク広告を展開しまくっているので、絵を見たことがある人も多いんじゃないかと思います。

「オークの樹の下」が読めるのは、2024年3月現在めちゃコミのみです。
紙派のために単行本化してほしい……!

「オークの樹の下」のあらすじ

本作の主人公は、吃音症で内気な公爵令嬢マクシミリアン・クロイソ。通称マクシーです。

彼女は父親に強要され、貧しい生まれの下級騎士リフタン・カリプスと政略結婚することに。父親は、ドラゴン討伐戦参加への王命をリフタンに押し付け、代わりに娘であるマクシーを差し出したのです。

急遽結婚式が行われて床入りを済ませましたが、翌朝目を覚ましたマクシーのそばにリフタンの姿はありませんでした。ドラゴン討伐に向かったからです。

それから3年後。

リフタンはドラゴン討伐戦に命懸けで勝利し、大陸中に名を馳せる英雄となって帰還しました。

そして一夜だけ共に過ごした妻・マクシーをさらうように自分の領地に連れ帰り……というところで物語が始まります。

萌え狂ったポイント3選

「オークの樹の下」で私が萌え狂ったポイントですが、大きく分けて3つ。

  • 過保護な無愛想ヒーローのカッコよさ
  • 劣等感に悩むヒロインと、女性向けマンガのトレンド展開
  • 絵自体の説得力

ちなみに現在配信されているのは42話まで。そこまで読んだ上での感想になります。

過保護な無愛想ヒーローのカッコよさ

リフタンがマクシーを好きすぎるんですよ!!

政略結婚で結びつき、共に過ごした時間はほぼない2人ですが、リフタンの過保護っぷりが最高です。

  • 吐いて気を失ってしまったマクシーの服を替え、食事を用意する
  • 領地への移動中、ずっと馬車に乗ってるマクシーの足を休憩時間にマッサージする
  • 一緒にお風呂に入り、マクシーの体を洗う
  • 城内の案内をするときには手を繋ぐ
  • マクシーの食べる量が少ないことを気にする
  • H後は疲れてるだろうからマクシーを動かさない、飲みものも手ずから飲ませる
  • 朝起きてベッドにマクシーがいなかったら、心配で探す(見つけたらほかの男と話していたので静かにブチギレる)
  • 侍女のようにマクシーの髪を梳かす

ちょっと具体例を挙げただけでこれ。

無愛想なのに過保護に甘やかす男が好きな私、大歓喜!

彼は直截的で鋭い物言いをする割に誤解される言い方をするので(要はぶっきらぼう)マクシーは怯え気味ですが、ちょっとした描写の端々に「マクシーが可愛くて仕方ない!」って気持ちが表れていて、読者としては本当にニヤニヤが止まりません。

「ゴールデンカムイ」のラッコ鍋回で「このマタギ……すけべ過ぎる!!」というセリフがありますが、マジでリフタンはセクシャルすぎる……。何かあれば所構わずマクシーにチュッチュチュッチュするし、ピロートーク中はマクシーへの賛辞を惜しまないし、筋肉と血管と筋を惜しげもなく披露するし、私はもう……もう……。マクシーとリフタンの体格差もグッときます。

42話までだとまだ描かれてないのですが、たぶんリフタンは政略結婚前からマクシーを知っているんじゃないかなあ。さすがに一夜だけの関係にしては愛が重すぎる(笑)。

リフタンからマクシーへの激重感情がどうやって生まれてどうやって育っていったのかが明かされる回が楽しみでしょうがないです。

余談ですが、リフタンから翻訳ロマンスのヒーロー臭を強く感じています。

私は欧米の翻訳ロマンスが大好きで昔から読んでいるのですが、日本の女性向けマンガより韓国の女性向けWebtoonに似たエッセンスを感じることが多くて。

例えば吃音ヒロインといえば、翻訳ロマンスファンならリサ・クレイパスの「冬空に舞う堕天使と」を思い出すと思いますし、父親からの虐待により自分に自信がないというところはリン・カーランド「わたしの黒い騎士」を彷彿とさせます。

さらにリフタンはマクシーが外で無意識に煽ってきたとき、自分が性的に興奮していることをマクシーにわからせるため、下半身を押し付けるというエピソードがあるのですが、これは翻訳ロマンスヒーローの得意技(と私が勝手に思っている)です。

ちなみLINEマンガで連載中のWebtoon「問題な王子様」は、一族の財産を親戚にすべて奪われる危機からヒロインが都会に出る展開や、離婚歴のあるヒーローがすごく翻訳ロマンスっぽい(笑)。

翻訳ロマンスが好きな人は、最近翻訳作品が減ってきてさみしい思いをしていると思います。Webtoonをチェックしてみるのもおすすめです。

劣等感に悩むヒロインと、女性向けマンガのトレンド展開

それから我らがヒロイン・マクシー。

父親から虐待され、綺麗な妹と比較されながら育ち、自分に自信がありません。引っ込み思案でネガティブ思考。そして吃音も彼女の大きなコンプレックスで、結婚前からずっと引きこもっていました。

そんな彼女がリフタンと結婚して外の世界に否応なく引っ張り出され、領主の妻となったことでさまざまな困難に直面します。

ここで物語のポイントとなるのが、マクシーはリフタンと過ごすうちに「彼の役に立ちたい」と願うようになったこと。公爵令嬢だけど教育されてこなかったため、マクシーは自分のことを「無知で無能」と思っています。そしてリフタンが自分と結婚したのは「大切にされてきた(=実家の後ろ盾がある)公爵令嬢」だからであり、父親から愛されていないとリフタンに知られたら離婚されるかもしれない。でも何かしら役に立つ取り柄があれば、バレても側に置いてもらえるかもしれない。

最初は自分の生存戦略や義務という側面があったと思いますが、次第にリフタンへの気持ちが育っていき、共にいたいと願うマクシー。

そこで少しでも自分が役に立つ存在だと思ってもらえるように、領主の妻としてボロボロで無骨な城を快適にするため奔走し、リフタン不在時の敵襲来に立ち向かい、発展途上な領地で自分ができることを探していきます。

健気……

マクシーを見ていると、少女マンガ評論「私の居場所はどこにあるの?」(藤本由香里)を思い出します。

同書ではタイトル通り「私の居場所はどこにあるの?」という問いが少女マンガにおける大きな主題であると論じています。「オークの樹の下」は“少女”マンガではありませんが、マクシーは明確に「自分の居場所を探し求めている」女性です。

藤本由香里さんは少女マンガにおける「家族」を「そこに帰れば必ず自分のための居場所があると信じられる場所」として定義しています。血縁者からそれを得られなかったマクシーは、どこかへの所属意識や存在証明がない宙ぶらりんな状態で生きてきました。

なのでリフタンを中心としたアナトール(リフタンの領地)の人々の輪の中に入ることに無意識に憧れを抱いています。しかし、マクシーの父親がリフタンをはじめアナトールの騎士たちにひどいことをしたうえ、マクシー自身も(事情があったとはいえ)リフタンがドラゴン討伐をしていた3年間、結婚していたのにアナトールを放っておいてしまった引け目があります。だから役に立って存在を認めてもらおう、自分の居場所を作ろうと努力するのです。

この「能力を示して存在を認められる」という展開に女性向けマンガのトレンドを感じます。

同じく少女マンガ評論本「花咲く乙女たちのキンピラゴボウ」の陸奥A子論の中で、橋本治さんはオトメチックマンガ(=現実の女の子たちを主人公にして描かれた少女マンガ)について論じています。

そこでは「チビで、泣き虫で、無口で、内気で、鈍感で、そばかすだらけで、どこといって何一つ特徴のない、わたし」に対して、憧れの男の子が「そんなキミが好きだよ」と言ってくれると「当分の間幸福に過せるのです」というようなことが書かれています。「オトメチックマンガの終わりは、必ずや『そんなキミが好きだよ』でなくてならない」と。

「花咲く乙女たちのキンピラゴボウ」は1979年に刊行された本ですが、「カッコいい男子からの肯定」が少女マンガの典型的パターンの1つというのは現在でも当てはまります。

「オークの樹の下」は韓国発の作品だし、橋本治のときとは時代も違うし、“オトメチックマンガ”でもありません。でも「主人公が気にしている欠点」を物ともしない男性からの肯定が描かれている、という点が共通しています。

マクシーは吃音を気にしており、実際父親や襲撃者からバカにされますが、リフタンはどれだけマクシーが言葉をつっかえても気にした様子も見せず、きちんと聞いています。さらに乳母から「醜い髪」と言われていた強いウェーブの赤髪は「フワフワしててまるで真っ赤な雲」「このうねうねが可愛いんじゃないか」「下ろしている髪が肌に触れる感触もいい」とピロートーク中にベタ褒めするんです。

ただ現代の女性向け作品である「オークの樹の下」は、「そんなキミが好きだよ」という男性からの肯定では終わりません。マクシーは欠点を含めてリフタンから愛されますが、それだけでは所在なさげ。自分が役に立つ存在であることを示すため、領主の妻の仕事をこなしていき、そのがんばりが周囲の人間からも次第に認められていく、というストーリー展開になります。

意中の人からの絶対的な肯定と、自分の能力を示すことによる周囲の人からの肯定。「私の居場所」を「どこにあるの?」と探すだけでなく、自らの能力をもってその場所で根付いていく必要がある。これがいまの女性向けマンガのトレンドの1つかなあと思っています。

なぜかというと、日本で流行の兆しを見せる和風恋愛ファンタジーも下記の特徴を持つ作品が多いからです。

  • 家族から虐げられている女性が主人公
  • その家族が敵わない男性に見初められる
  • その男性のもとで大切にされ、女性が持っていた能力を正しく評価される

「オークの樹の下」と同じ要素ですね。国を跨いで似た要素を持つ作品が流行するということは、日韓の作家たちが「こういうものが求められている」と感じているんでしょう。このあたりが女性向けマンガのトレンドなんだと思います。

絵自体の説得力

ドラマチックなストーリー展開もさることながら、絵自体の魅力が「オークの樹の下」の面白さを支えています。

なんというか、説得力がある絵なんです。

リフタンはマクシーを可愛く思っている、というのは前述の通り。でもいくらヒーローがヒロインを可愛く思っているからって、読者もそうだとは限りませんよね。

だってマクシーは意地悪く言っちゃえば「夫の領地を3年も放っておいた引きこもり」で「引っ込み思案でビクビクしている」女性です。もしかしたら実際マクシーにイライラする人もいるかもしれません。

でも私はもう「マクシーめっちゃかわいいいいいいい!」と思っていて。

3年ぶりにベッドを共にするとき(5話)の「リ…リフタン」と助けを求めるように涙ぐんだマクシーの表情。夫の周囲の人物からこれ以上反感を買わないために特別扱いしてほしくないとき(6話)の「ひ…ひ…一人はい…嫌です」の必死な顔。

問答無用で可愛く、「リフタンがマクシーを可愛く思う気持ち」が完全に理解できてしまう。絵に説得力がある。

同様にあまりにワイルド&セクシーなリフタンの魅力も絵で“わからせ”られる。

キャラクターだけではなく、演出や背景描写でも絵の説得力は有効です。

例えば42話。暗い場所から明るい場所へマクシーが歩いていくシーン。Webtoonならではのスクロールを読者自身の指で行うことによって、実際にどんどん明るい場所へ向かっていくような見え方になっています。そして明るい場所へ出た後、大きな窓から見える大自然の美しさ。明るさと暗さ、山並みの美しさなどがフルカラーで見られるうえ、たぶんキラキラしたエフェクト効果もあり、開放感や未来への希望を感じさせる演出に仕上がっています。

めちゃコミの広告展開への注力具合

というふうに、「『オークの樹の下』超面白い!」とハマっているのですが、同時に「めちゃコミの広告展開もすごいなー」と思っていて。

忘れないよう備忘録的に書いておきますが、広告展開にそんなに詳しくないので間違っているかもしれません。その際は修正するのでご指摘ください。

私のPC環境だと、「オークの樹の下」のネットワーク広告がほぼ毎日表示されます。たぶん「マンガ好き」や「30代女性」などの属性でターゲティングされてるんでしょう。

本当にどんなサイトを閲覧していても「オークの樹の下」の広告がかなりの確率で表示されます。

それをぼんやり見ていて気づいたことが2つ。

  • 「オークの樹の下」の広告だけでも何パターンも種類がある
  • 作中にないキャラのセリフが使われている

ということです。

「何パターンも種類がある」に関してはもうそのままなんですが、いろんなシーンがピックアップされているんです。

例えば

  • リフタンがマクシーを捨て、ほかの女と結婚するという誤解にまつわるエピソード。誤解だとわからせるいちゃいちゃシーンが広告になっている。
  • マクシーが晩餐会でおめかししたらかわいすぎて、ほかの男に見せたくなくて気が気じゃないエピソード。マクシーが身につけている宝石を、リフタンがいじるシーンが広告になっている(このシーン、性的で最高!)。
  • リフタン不在時に領地が襲撃されるエピソード。マクシーがピンチになり、間に合ったリフタンがブチギレてるシーンが広告になっている。
  • マクシーがほかの男と話していたことに、リフタンが嫉妬するエピソード。リフタンが嫉妬で詰問してるシーンが広告になっている。

同じシーンを広告にしていても異なるテキストが入っていたりすることもあり、かなりの数が作られていることが察せられます。十何パターンとか(もしかしたら数十パターンとか)あるのでは……?と。

下の画像はリフタンが赤面してるシーンが別のクリエイティブになってるのがわかります。

そして、けっこう新しいエピソードから広告を作っています。物語の導入部で広告のクリエイティブを作るのではなく、人気のエピソードのハイライトで構成しているイメージです。ことごとくツボに入るので「お前らマンガ好きのオタク女はこういうのが好きなんだろ!」と研究されている感じがするんですが、「はい……そのとおりです……」と頷くのみ。

たぶん「オークの樹の下」を読んでない人からしたら、広告を見ているだけでなんとなく物語が進展してるのがわかるんじゃないかな?(笑)

そして「作中にないキャラのセリフが使われている」に関して。

例えばこういう広告の「また怯えられたらどうしてくれる!!」「その笑顔は俺だけの宝物だった」というテキスト、作中にはないんですよ。

たぶん広告を作っている人が、わかりやすくするためにリフタンの内面を創作している。それが悪いという意味ではなく、「すごく効果的だな」と思ってます。読んでいない人にいちシーンの絵やセリフだけ見せても、キャラの内面なんてわからないですしね。

そして男性キャラの内面描写って女性向け作品のめちゃくちゃ面白い部分ですから(少なくとも私にとってはそう)。

ティーンズラブでも少女向けでも翻訳ロマンスでも、ヒーローが内面を吐露するシーン、ヒロインをどれだけ深く思っているか明かすシーンは私が最高潮に盛り上がる部分です。

そのエッセンスを手軽に摂取できるネットワーク広告、すごいなと思っています。

「作中にないセリフが使われている」というのは、「オークの樹の下」だけでなくほかの作品でもめちゃコミが行っている広告展開ですが、きっと試行錯誤を繰り返してるんだろうなーと察せられます。

下に表示した「今夜、うちにおいで~冷徹上司の理性が溶けたら」の広告も同様の手法です。

めちゃコミはほかの電子書店のネットワーク広告よりクリエイティブに力を入れている気がする。

単行本化たのむぞ……。

とても長々と書いてしまいましたが、要は面白から読んでみて!ってことです。

そして原作小説の翻訳とその単行本化、Webtoon版の「オークの樹の下」の紙の単行本化を切に切に願っています……!

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