MENU

「どうせ捨てられるのなら、最後に好きにさせていただきます」(セレン / 碧貴子)親の顔より見た“婚約破棄もの”、でもヒーローは婚約破棄してきた王太子【TLマンガ感想】

  • URLをコピーしました!

このブログではアフィリエイトを利用しています。ブログに貼ってある広告からマンガや小説、モノを購入していただくと、ブログ主が次に買うマンガや小説の足しになります。

自腹で買った本当に面白い作品のレビュー、今回はセレンさん作画、碧貴子さん原作の「どうせ捨てられるのなら、最後に好きにさせていただきます」です。一迅社のゼロサムオンラインで連載されていて、2023年2月時点で1巻が発売中です。このレビューが、購入の参考になれば幸いです。

目次

あらすじ

「ご安心なさって? 言われなくとも、乙女を抱くように優しく抱いて差し上げましてよ?」

侯爵令嬢アニエスは、長年の片恋の相手であり婚約者である王太子のリュシリュールに婚約破棄を告げられる。彼の隣には恋敵の姿が。どうせ愛されることはないのであれば、捨てられ虐げられることしかないのであれば、だったら最後に……。家を、そして自らの自由と矜持を守るために取ったあるとんでもない行動で、しかし何故かアニエスはリュシリュールに執着されてしまう。意地っ張りで素直になれない二人の縺れに縺れた恋の行方は……──

一迅社メリッサの大人気作が待望のコミカライズ!

https://zerosumonline.com/zerosum/comic/douse

“圧倒的に言葉が足りない&事情があるヒーロー”とのすれ違いを楽しむ物語(たぶん)

婚約破棄してきた王太子。その傍らには自分ではない令嬢が幸せそうに微笑んでいる。

そう、親の顔より見た「婚約破棄もの」の冒頭です。

王道であれば、ここから婚約破棄されたヒロインがアホな王太子とは比べものにならないスパダリを見つけ、彼と幸せになっていく展開。

でも、「どうせ捨てられるのなら、最後に好きにさせていただきます」はちょっと違います。

婚約破棄してきた王太子のリュシリュールがヒーローなのです。

そんなヒーロー嫌だよ!と思う方もちょっと待ってください。

こんなヒーローでも、ストーリーの面白さに胸がギュンギュンします。

まだ物語は完結しておらず、私も原作を読んだわけではないのでハッキリとは言えないのですが(このマンガは小説のコミカライズです)、ピッコマで連載中のWebtoon「あなたの心がわかるように」や、ソーニャ文庫から刊行されている春日部こみとさんの小説「この結婚は間違いでした」などに代表される“圧倒的に言葉が足りない&事情があるヒーロー”とのすれ違いを楽しむ物語だと予想しています。

最初のほうは「こんなヒーローはコテンパンに振ってくれ!」と思うような振る舞いなのですが、リュシリュールには憎みきれないところもあります。

ヒロインのアニエスに無理やりいろいろされちゃったり(すごくよかった)、アニエスを監禁したり、気遣ったり心配したり。

何か理由や誤解があって、アニエスに冷たくしているんだろうなという描写が随所にちりばめられているんです。

こういう物語は、ド派手にこじれたすれ違いと、虐げられたがゆえに頑なになったヒロイン、そこからのヒーローの怒涛の謝罪・反省が見どころ。

一迅社のゼロサムオンラインで連載されているのですが、現時点での最新話である第7話で、すでにこっぴどくヒーローが振られる兆候が見られ、今後の展開にワクワクが止まりません。

ゼロサムオンライン
ゼロサムオンライン ゼロサム系女子のための新しいオンラインマガジン、ゼロサムオンライン。新作コミック&コラボ企画を続々掲載予定!ゼロサムならではのハイクオリティで贈る空前のオンライ...

ヒロインの強さの中に垣間見える弱さ、健気さに萌える

ヒーローが“一見”クソ野郎の場合、ヒロインの健気さも物語を盛り上げる要素です。

アニエスが思いやりを見せても冷たい態度で返され、恋心を隠さずにいても目の前でほかの女を大事にされ、時折優しくされて期待しても裏切られる。

リュシリュールと体をつなげた後、その手を握ろうとした瞬間に恋敵の女の顔が浮かび、リュシリュールの手に触れず自分の手を握りしめる描写は小さいコマですが切なさの極地。

胸がキュッとなります。

でもただ健気なだけではなく、きちんと強さもあり、優秀。馬鹿ではないところを見せてくれるのもポイントが高い。

ヒーロー、恋敵、周囲からどこまでも追い詰められるヒロインの境遇にグッとくるこの心情は“かわいそう萌え”なのかもしれません。

アニエスに願うこととしては、きっと事情があるとはいえ、ひどいリュシリュールを簡単に許さないでほしい。許してもらえると思っているヒーローをヒロインが拒むことで、七転八倒・右往左往しているヒーローを見られるからです。

「賭ケグルイ双」の斎木桂さんが別名義で作画を担当

「どうせ捨てられるのなら、最後に好きにさせていただきます」は、ヒーローが信用しきれず、ヒロインはかわいそうで、恋敵はマジでムカつく。

読者の感情を揺さぶってくるストーリーなのですが、それをめちゃくちゃ見応えのあるものに仕上げているのは、作画のセレンさんの絵のうまさ。とりわけ表情を描く巧みさにあると思います。

セレンさんは斎木桂名義で「賭ケグルイ双」の作画も担当しています。「賭ケグルイ」シリーズの素晴らしさは“顔芸”だと思っているのですが、そこで鍛えた表情の描写力を「どうせ捨てられるのなら、最後に好きにさせていただきます」でも遺憾なく発揮。

リュシリュールの何かを堪えている表情、アニエスの強さの中に時折垣間見える弱さ、恋敵の憎たらしさなど、物語に華を添えています。

早く続きを読みたい!という思いと、たぶんすれ違いまくってる今が一番面白い!という思いで引きちぎられそうになる。そんなマンガです。

ゼロサムオンラインで第1話は無料で読めますので、気になる人はぜひ……と言いたいのですが、公開されている第1話はゼロサムオンラインにありがちな「Rシーンをごっそり削られてる」状態のものです。

なので単行本での購入がオススメです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次