こんにちは! TL大好き!なスージーです。
自腹で買った本当に面白い作品のレビュー、今回はクレインさんのTL小説「炎の魔法使いは氷壁の乙女しか愛せない 魔女は初恋に熱く溶ける」です。このレビューが、購入の参考になれば幸いです。
人気作の続編? 前作は読んでたほうがいい?
人気TL小説「ヤンデレ魔法使いは石像の乙女しか愛せない 魔女は愛弟子の口づけでとける」の待望の続編。それが今回レビューする「炎の魔法使いは氷壁の乙女しか愛せない 魔女は初恋に熱く溶ける」です。
前作の主人公カップルである、ヤンデレ魔法使いことアリステア、そして石像の乙女ことララの愛娘がニューヒロインとなります。
イラストは前作から引き続きウエハラ蜂さん。
対になってるカバーイラストを見て……! ウエハラ蜂さんの最高のイラストを……!
「続編」と聞くと、「前作を読んでなきゃだめかな?」と不安になる方もいますよね。
私は前作の「ヤンデレ魔法使いは石像の乙女しか愛せない」が大好きで何度も読んでいるので、「炎の魔法使いは氷壁の乙女しか愛せない」から読む人がどう思うかは正直わからないのですが……。ただこれだけは言えます。
「炎の魔法使いは氷壁の乙女しか愛せない」の主人公カップル、糖度がめっちゃ高い!
そういうお話が好きな方はぜひ。世界観もしっかりしていて、キャラクターもいいのでかなりオススメです。
ただ、2作を読んだほうがより面白いのは間違いない。
というのは、2作は共通の登場人物が多いんです。まず今作のヒロイン・リリアの両親にして前作の主人公カップル、アリスとララ。
それから今作のヒーロー・ルイスの祖父母であるルトフェルとニコル。
特にアリスはルイスの師匠でもあるので、かなり物語に関わってきます。
アリスが師匠……感慨深い。
単行本のキャッチコピーは「師匠に殺される覚悟ができた。結婚しよう。リリア」ですからね。これは作中のルイスのセリフです。
ヤンデレ魔法使い・アリスの愛は重く、もちろん娘であるリリアのことも非常に愛しているので、ルイスにとってはまさに立ちはだかる強大な壁。ほぼラスボスです。
なので「ヤンデレ魔法使いは石像の乙女しか愛せない」から読むのがオススメではありますが、「炎の魔法使いは氷壁の乙女しか愛せない」を読んで気に入ったら前作に戻る、という読み方でもいいかもしれません。
「ヤンデレ魔法使いは石像の乙女しか愛せない」は嘘偽りなく「損はさせないから読んでくれ……!」と言える作品です。レビューもしているので参考にしてください。
コミカライズも出ています。
余談ですが、2作の舞台となる世界は、TLの中でも屈指の過酷な世界だと思っていて。
人を捕食する魔物が蔓延り、大洪水で人口の半分が死に、それから数百年経って人類は滅亡寸前。結界の中でかろうじて生き残っている状態です。
そこには世界の秘密が関係しています。
「世界の秘密」……いくつになってもワクワクします。
2作を読むと、そのあたりの事情もよりわかります。
とっっっっっっっっても愛が重いリリア
「炎の魔法使いは氷壁の乙女しか愛せない」は、炎の魔法使いことルイスと、氷壁の乙女ことリリアの恋物語。
この2人、とにかく魅力的なんです。
リリアはとっっっっっっっっても愛が重い女の子(笑)。「ヒーローからの溺愛」が多いTLでは、「ヒーローへの愛が重い」ヒロインというのはけっこう珍しいかもしれません。
姿形は母親のララに、性質は父親のアリスに似ていると作中で言われているリリア。リリアのどんな性質がアリスに似ているのか?
私は自分の恋に殉じる覚悟があるところだと思っています。ほかの人によそ見は一切せず、人生をかけてただ1人の相手だけを求めるところが似ています。
リリアもアリスも溢れんばかりの才能と輝く美貌があり、楽に生きようとすれば生きられます。でもできない。アリスはララに、リリアはルイスに出会ってしまったから。
作中には「私はルイスのいない平穏より、ルイスがいる地獄がいい」というリリアのセリフがあるのですが、まさにリリアの生き方を言い表していると思いました。
才能のある人の、その一途で愚直な生き方に胸を打たれます。
ちなみにリリアの弟は、姉のあまりに重いルイスへの愛(と猪突猛進さ)にドン引きしています(笑)
ルイスの無意識のモテ仕草がエグい
ではヒーローのルイスの愛は薄いのか? そんなことありません。
ルイスもめちゃくちゃリリアが大好き。
2人は幼なじみです。ルイスは優しく、真面目で、誠実だからリリアに安易に手を出さず、公女という高い身分のリリアに求婚するために身を立てようとしています。
そんな健気なルイスと、既成事実を作ろうと虎視眈々と狙っているリリアの攻防が最高に面白い。特に初Hシーンで「チャンス到来!」みたいな心境になってるリリアには笑いました(笑)
なんていうか、ルイスの無意識のモテ仕草がエグいんです。
私が一番胸を射抜かれたのは、リリアの髪を乾かすシーン。
ルイスは火魔法が得意です。お風呂に入った後、自分の髪はどうでもいいから高火力で一気に乾かすくせに、リリアの髪は傷まないように火と風の精霊に命じてぬるめの温風を作り、指先に纏わせてゆっくり乾かすんです。やばくないですか……?
リリアは狙ってないのにときめかせてくるルイスに対して「だからそういうところなのーっ!」とよく心の中で叫ぶのですが、マジで私も「そういうところーっ!」「そんなことされたら好きになっちゃうでしょーが!!」「リリア、男を見る目がある……!」って何回も心の中で叫びました。
リリアは自分の激重感情と、ルイスのリリアへの思いは「好きの天秤」が釣り合ってないと思っています。いつかは釣り合ってくれればいいと。
でもルイスが独占欲を見せるシーン、死を意識したことをきっかけにタガが外れるシーン、リリアのプロポーズに応えるシーン、そしてリリアに危機が訪れるシーン。
ルイスのTLヒーローとしての殺傷力が高いので、ぜひ読んでほしいです。